AIっぽさを消す方法を更に詳しく解説した記事を書きました。
【AIイラスト】AIイラストからAIっぽさを無くす方法 完全版【Stable Diffusion】
前回、【AIイラスト】AIイラストからAIっぽさを消す方法【stable diffusion】にてAIイラストからAIっぽさを消すという記事を書きましたが、今回はより詳しく手順を解説していこうと思います。
先に断っておきますが、最終的にはトレスをすることになるので、ポン出しだけでAIっぽさを消したいという方にとっては不十分な記事になるかもしれません。
それでは、解説に移りたいと思います。
前準備
1.トレスしやすいモデルを選ぶ
まずはモデル選定です。Civitaiなどで様々なモデルが配布されており、各々お気に入りのモデルがあることでしょう。出来ることならそのモデルを使いたいと思いますが、いきなり描き込み量の多い絵や、複雑な質感の絵をトレスするのはおすすめしません。
「どんなにめんどくさくてもやってやる!」「お気に入りのモデルを使えるなら多少のことなら乗り越えられる!」という方については止めはしませんが、最初の内は出来るだけトレスしやすいモデルを選ぶと良いでしょう。
それでは、Civitaiからダウンロードでもモデルマージで自作でもなんでも良いので、「これなら自分でもトレス出来そう」と思える絵を生成できるモデルを見つけてください。
複数の候補が挙がり迷っている場合はX/Y/Z plotを使って比較してみるのが良いでしょう。
私は7つのモデルを候補として、以下のように比較してみることにしました。
このようにしてトレスしやすいモデルを見つけていきましょう。
私はtest1のモデルを使うことにしました。
2.LoRAを使用する
LoRAの使用は任意ですが、シンプルな塗りにするLoRAを使うことで、より一層トレスがしやすくなります。LoRAはCivitaiなどの配布サイトで探すか自作しましょう。
また、以下の記事でLoRA作成の解説をしています。
【AIイラスト】kohya_ss GUIを導入してローカルでLoRA学習をしよう【stable diffusion】
LoRAを適用して生成した画像が以下になります。
プロンプトやシード値は前述した「トレスしやすいモデルを選ぶ」での比較時と同じです。
test1で生成される画像がさらにトレスしやすくなった気がします。
比べてみましょう。
どうでしょうか。髪の描き込み量が変わり、トレスしやすくなった気がします。
3.不要な部分を削除する
この部分も任意ですが、後々トレスが楽になるかもしれない作業です。
画像編集ソフトや画像生成AIのInpaintなどを使い、破綻部分や不自然な部分を消したり直したりするとトレスするときに迷わずに済みます。
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トレスする
お絵かきソフトを準備する
トレスするにあたって必要になるのはお絵かきソフトです。Photoshopなどの画像編集ソフトで使える線ツールでトレスしても良いですが、よりAIっぽさを無くしていきたいのでお絵かきソフトを使うことにします。
使うソフトはなんでも良いですが、情報の多いクリスタがおすすめです。
この記事でもクリスタを使用していきます。
お絵かきソフトでの作業
1.トレス元の画像を読み込み
最初にトレス元となる画像を読み込ませます。
読み込ませたら、トレスしやすいように透明度を下げ、線画用のレイヤーを追加します。
今回は線画用のレイヤーを1つしか作成していませんが、表情差分や服装差分を描く場合は、それぞれレイヤーを分けて描くと良いでしょう。
2.線画の作成
あとは線画としてトレスを行うだけです。
使用するペンはお好みで良いと思います。私は丸ペンでやっていますが、線画用のペンが「CLIP STUDIO ASSETS」などで配布されているので、そちらを使っても良いかもしれません。
また、トレスするのはキャラの部分だけで背景はトレスしません。
以下のような感じで線画を描き上げます。
3.色塗り
次に色を塗っていきます。
色を塗る際のレイヤー構成は以下のように、塗る箇所ごとにレイヤーを分けます。
色は元の画像からスポイトで色を抽出し、塗りつぶしツールの「他レイヤーを参照」を選択します。
また、スポイトで色を取る時の注意点ですが、影や光の当たっている箇所から取るのはやめましょう。影と光はあとで描き込む部分なので、そうでない箇所から色を抽出しましょう。
塗りつぶしツールで塗りつぶしていくと、パっと見では塗れているように見えますが、拡大してみると以下のように塗り残しが発生している箇所があります。
毛先などの細い部分で発生しやすいので注意しましょう。
こんな感じで塗りつぶしツールで色を塗り終わったのが以下になります。
右側の髪がカクカクしていたり、拡大すると塗り残しなど粗さが目立ちますが、今回はこれで進めていきます。
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4.影やハイライトを入れる
次は影やハイライトの付け方です。
まずは新しいレイヤーを作成します。レイヤー構成は、影やハイライトを付けたいレイヤーの1つ上に作成してください。
服の影を付けていく場合は、服レイヤーの上に服影レイヤーを作成します。
次に、レイヤーパネルから「下のレイヤーでクリッピング」を選択しマスクを作成します。
こうすることで、服影レイヤーで描画される範囲が、下の服レイヤーで描画されている範囲と同じになります。
以下の画像を見ると分かりやすいですが、左の画像がマスクありの状態、右がなしの状態です。
どんなに雑に筆を走らせても、マスクした範囲外は描画されることはありません。これにより、服と肌の境界線付近でもブラシサイズを変えることなく大雑把に筆を動かすことが出来ます。
影の付け方は色塗りの時と同じで、元の画像から影色をスポイトで抽出して塗っていきます。
影を付けたのが以下。
クオリティを上げたいのであれば、影やハイライトはトレスではなく、光源などを意識した塗り方をするのが良いでしょう。
5.背景を付ける
背景を付けていきましょう。背景を作るのがめんどくさい場合は白背景など、AIイラスト的な言い方をすれば”simple background“などでも良いと思います。
それでは、まず背景となる素材の用意からです。なぜ背景は別で用意しなければならないのかと言うと、AIイラストを生成している方であればご存じかと思いますが、ビルの窓といった細かい部分の描画が歪んでいたり、キャラの後ろの線が繋がらない、ということが多いからです。
窓が歪んでいたり線が繋がらないような問題はトレス時に直すことが出来ますが、トレスしている最中によく分からない線が出てきたり、よく分からない小物が出てきたり、実物とは構造が違う描かれ方をしていたりと、そのままトレスしてしまうとAIっぽさが出て来てしまいます。
なので、背景はAIイラストのトレスではなく、Blenderやunityなどで3Dモデルを配置、それをスクショなどで画像として保存し、それを背景として読み込ませて使ったり、写真を撮影してそれを背景として使ったりするのが良いでしょう。
また、背景素材集なども売られているので、そちらを利用するのも良いですね。
3Dモデルなどの用意がめんどくさかった為、この記事では以下のAIイラストを使って説明していきます。
先ほど説明した通り、窓が歪んでいますが気にせずいきます。
それでは、クリスタに読み込ませてみましょう。
この記事ではアニメ調のキャラにアニメ調の背景なので違和感も少ないですが、3Dモデルだとかなり違和感が出ていると思います。
3Dモデルをトレスして仕上げるのも良いですが、もっと簡単な方法があります。
それは「ぼかし」です。
それではぼかす為の手順を解説していきます。
読み込んだ画像のままではぼかし機能を適用できないので、読み込んだ画像のレイヤーを右クリックし「ラスタライズ」をクリックします。
次に、画面上部の「フィルタ」から「ぼかし」→「ガウスぼかし」とクリックします。
すると、ぼかす範囲を調整出来るので、良い感じに設定しOKをクリックします。
以下がぼかしを適用した画像になります。
良い感じに窓の歪みも分からなくなりましたね。トレスではなくぼかしを使用する場合は、AIイラストを背景として使っても良いかもしれませんね。
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6.仕上げ
最後に仕上げとしてノイズを載せていきます。
いろいろイラスト関係の記事を読んでいると、仕上げとしてノイズを載せると良い感じになるんだとか・・・。
ということで、早速ノイズを載せていきます。
まずノイズ用の新しいレイヤーを追加します。
レイヤー構造は一番上に配置してください、また、レイヤーモードをオーバーレイに設定します。
次に、画面上部の「フィルタ」から「描画」→「パーリンノイズ」の順にクリックします。
すると、パーリンノイズの設定値を決めるウィンドウが出てきます。
今回はデフォルトのまま進めていきます。
これで、ノイズ用のレイヤー全体にノイズが適用されました。あとは透明度を変更して良い感じにしていきます。
これで完成した画像が以下になります。
うーん、よく分からないのでノイズありと無しを比較してみましょう。
まぁ各自で良い感じの設定を見つけてください。
これで完成となります。
HIVEでAI率を確認
せっかくなのでHIVEでAI率を見てみましょう。
はい、ほぼAIではないとの事です。背景は完全なポン出しのAIイラストですが、ぼかすだけでこの通りです。
あると便利なモノ
最後に、AIイラストからAIっぽさを消す際に、あると便利と思われるものをいくつか紹介したいと思います。
・ペンタブ
マウスでは出せない線の強弱などを再現出来るため、あると便利です。
私はワコムの板タブであるIntuos ProとXPPenの液タブのArtist 13セカンドを所持していますが、Intuos Proを使うことがほとんどです。
というのも、Artist 13セカンドは液タブを試してみたいと思い購入したのですが、ずっと下を向いて作業することになり、首が痛くなる為すぐに使わなくなりました。
ペンタブ用のスタンドなどを用意すれば良いのでしょうが、私はPCゲーマーなのでデスクがゲーム用のデバイスなどで占有されていて、スタンドを置くスペースがありませんでした。
ただ、初めてペンタブを触るという方は、板タブと液タブで悩むという方もいると思います。
そんな方にはXPPenのArtist セカンドシリーズがおすすめです。
このシリーズは、液タブと板タブを切り替えて使うことが出来ます。XPPenのペンタブは安いのでお試しで購入するには丁度良いですね。
また、Artist セカンドシリーズはArtist 12セカンドやArtist 13セカンドなど、いろいろ種類がありますが、主な違いはサイズです。使用しているデスク環境に合わせて選べばいいですね。
2.参考書
トレスするにあたり、イラスト関係の参考書もあると便利です。
AIイラストだからAIイラストの参考書、と思うかもしれませんが、トレスするのであれば手描きと同じです。特に影やハイライトの付け方はトレスではなく、技法をちゃんと学ぶことでよりAIっぽさを消せることでしょう。
3.素材集
背景を用意するのがめんどくさいという方には、素材集を使うという手もあります。
中にはKindle Unlimited 読み放題に対応した素材集もあるので、探してみると良いでしょう。
以上で、AIイラストからAIっぽさを消す手順の解説を終わります。
それでは!
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